ホーム > 吃音(どもり)の原因、症状と改善方法


          吃音の子と話すお母さんの画像 

      ■ 目 次
 1.吃音(どもり)とは
 2.吃音の症状
 3.原因と要因
 4.改善の試み
 5.ご理解いただきたいこと


 

吃音(どもり)とは

吃音(きつおん)とは、話をする際にスムーズに言葉が出ない、言葉が流暢に流れない、言葉に詰まる事を指すコミュニケーション障害の一種です。どもりとも言われます。英語では"stammer"あるいは"stuttering" といいます。

どもって話していても本人は気にしていない、反対に、吃音が表面に出ないですらすら話していても、本人は言いづらさを感じて悩んでいる場合があります。外部の人々は話し手の気持ちまでは判りませんので理解し難く、吃音と滑舌が悪いことと混同される場合があります。


吃音の症状

吃音の症状として、大まかには以下の3 種類に分類されます。

連発(音を繰り返します)
「き、き、き、君は」「そ、そ、そ、それだよ」などと、ひとつの音を繰り返します。文の頭、文中の文節のはじめ、単語のはじめなど、どの箇所にもみられます。
幼児期に比較的多くみられます。
気持が動転しているとき、緊張しているときなど連発が生じますが、常習化しているか否かが吃音と区別されます。

伸発(音を引き伸ばします)
「そ~れでね」「き~みはどう?」などの不自然に伸ばしていく症状です。
幼児期に多く見られます。年齢が増すと自意識が育ってきますので恥ずかしいと感じるようになり、控えるようになります。

難発(言葉が詰まって出ない、ブロック)
言おうとしてから数秒してことばが出る、言葉が出にくい、あるいは出ない症状です。
文のはじめの音、文節のはじめの音、単語のはじめの音などにみられます。

成人はこの難発が多く、表面には表れにくいこともあり、周囲の人々は本人が悩んでいることなど分からないことが多くあります。

出だしの音にこだわる場合が多く、はじめのことばが言えると、その後の言葉は流暢に話せることが多いです。子どもから大人に共通してみられます。

詳しくは“吃音(どもり)の症状・レベル・チェック“のページをご覧ください。 


       吃音のことで悩む女性

その他の症状

吃音は言葉だけではなく、以下のような症状もみられます。

■随伴行動(体の動き)がある
話す際に、手足をふる、指をクロスさせる、体をのけぞらす、足で床をトンと踏む・・・など、体の動きを伴う症状です。

■回避(言い換える)
苦手な言葉やどもりやすい言葉を、同じ意味の別の言葉に言い換える、途中で話すことをやめる、ジェスチャーを使うなどの症状です。

心理面では・・・

●言いやすい言葉、言いにくい言葉の色分けがある。
●今は言えるが、特定の場面では言えないだろうという予測をする(発語予期不安)・・など。


          吃音で悩んでいる女の子


吃音と滑舌が悪いこととは別です

吃音は、単に滑舌が悪いということとは別であるということをご理解いただくために、共通した特徴を記したいと思います。

言う前から、この言葉は言える、言えない、という意識が働いていませんか?

これを吃音意識、あるいは発語予期不安と表現しています。単に滑舌が悪い、口が重いというのとは区別します。言いにくく感じるだけなら問題はないのですが、実際に詰まり始めると吃音意識が芽生えてきます。

早口になっていませんか?よく聞き返されることがありませんか?

当然ながら話す速さは個人によって異なります。早口であっても、相手に聞きやすければ全く支障はありません。女優の黒柳徹子さんの話し方は早口ですが、適度な間をいれて、強調することばはスピードを瞬時落とし、口の動きがはっきりしていますので、個性的な聞きやすい話し方です。ニーユースキャスターも同様です。

しかし早口が限度を超えると、絡まり始めます。これを繰り返すと、自分でコンロトールしにくくなり、吃音(意識)の領域に踏み込んできます。
吃音(意識)がありますと、勢いをつけて早く話し終えようとする気持ちが働きますので、早口になる傾向があります。会話をしていて、相手に聞き返されることが多くあれば、要注意です。

話すときいつも浅い息継ぎをしていませんか?

アナウンサーなど、話すことを専門としない限りは、「息継ぎなんて、考えたこともない」というのが一般です。でも、どのような息継ぎをして話しているかは、吃音に大きく影響しています。
吃音が出なければどのような息継ぎ(呼吸)をしていても支障はないのですが、ことばが詰まり出すと言葉が繋がらないで、細かく区切る話し方となります。区切りで息を入れますので、浅い胸呼吸が定着します。

ことばを換えて話すことはありませんか?

言いにくい言葉を別の言葉に言い換えて話すことは、吃音を持つ方のよくみられる対処法です。この言い換えの頻度が多くなると、内心とても不安定となります。名前を言ったり、決まった挨拶言葉を言う時など、言い換えできない場面で苦労します。言い換えは心理的には吃音を出しているのと同じです。

  



吃音の原因と要因

吃音の原因を探る研究は長きに渡ってなされ、さまざまな説がありますが、未だこれと特定することはできません。ただ、引き金になることがら(要因)については次のものが考えられています。

心理的な要因
ストレス、環境の変化、いじめ、心配事などは、話すことと因果関係があります。

脳の障害
大脳の左右の働き方のバランスが崩れる、あるいはドーパミンなどの代謝物質の過剰な分泌で症状が出るという説があります。

環境の要因
ことばの発達段階で、取り巻く環境の影響を受けて吃音になることが考えられます。例として、親が極端に早口であるとか、幼友達にどもる子がいて、その真似をすることなどです。

遺伝的な要因
同じ家系に複数の吃音者が出ているケースがあります。このことから吃音の遺伝子があるのではないかという研究が海外でされていますが、環境の要因と重なることもあり、まだ研究段階です。


発症経緯によって2つに分類することができます。

■発達性吃音(吃音者数全体の約9割を占めるといわれています)

■獲得性吃音(吃音者数全体の約1割といわれています)

   
          話し合う小学生
 

吃音の発症時期

多くの場合は幼少期にさかのぼることが多いです。年齢が増すにしたがい、吃音は消えていくものですが、そのまま引きずって小学高学年になり、吃音(どもり)意識が生まれてくるようになります。

また一方、成人になってからどもり始める場合もあります。アルバイト先で「ありがとうございました」が詰まってしまったことが尾を引いて、会社での電話応対で吃音が出ることなどが一例です。

30~40歳代で、環境の変化、人間関係のこじれ、不安な気持ちが引き金になることもあります。

人口全体での吃音者数の割合、男女別の割合

吃音者は人口全体の1%程度だと言われています。現在の世界の総人口が約75億人ですので、7500万人が吃音を持っていることになります。世界のどの言語にも吃音は発症しています。
また、実際には吃音があることが表面に出ないことも多く、正確な割合は不明です。

吃音の男女の正確な比率は出ていませんが、男性と女性の割合は4:1とも言われています。男性の方が女性よりも多いことは確かなようです。


           
          吃音と脳の関係のイメージイラスト


 

吃音の波

比較的吃音が出にくい時、また反対に出やすい時の波があるようです。

体調にサイクルがあるように、話すことにも何かサイクルがあるのかもしれません。波の背景を考えてみますと・・・。

吃音が出やすくなる時:

●多忙な仕事
仕事に追われるような忙しい日々が続いて疲れている時。ついつい話し方が荒くなり、力みが入ってしまう。呼吸も乱れがちになります。

● 人間関係
家庭や職場で人間関係がこじれているような時。他人の反応に神経質になってしまう。そのため話し方にも影響が出てきます。

● 接待サービス
対人関係が多い仕事をしている時。力量を超え続けると話すことのマイナス体験となってしまいます。

● 仕事の失敗、叱責
話すこととは関係のない失敗をして自信をなくしている時や、職場の上司からのきつい要求、忠告などを受けている時。職場の雰囲気が張り詰めている時など。
上司の厳しい態度・・・小学生でしたら、担任の先生が厳しい態度をとった時など。

● 神経の高ぶり・・・体は充分に休息をとっているが神経が高ぶっている時。こんなときは神経質になって自分の話し方が気になってしまうものです。

● 季節の変化、風邪・・・風邪などで鼻がつまったりしている時。呼吸に影響がでて話しにくくなることがあります。

吃音が比較的弱まる時:

●適度な忙しさ
自分の吃音を良い意味で忘れている時。このような時は変に内省的にならないものです。

● 緊張がほぐれている
人前でのスピーチや発表の後の緊張がほぐれているときは、体も心もリラックスするので発語が楽になるものです。

● 良い人間関係
家庭や職場で良い人間関係が与えられている時。変な気遣いがなく、心に余裕があります。

● 心のゆとり
自分で納得のいく話し体験をしていたり、話すことに関係ないことで自信を持つ体験をしている時。このような心のゆとりが話し方に反映されるものです。

過度なストレス、人間関係からくる緊張・気遣い、体調の変化などさまざまな事柄で影響を受けるものです。



吃音改善の試み

改善に向けてさまざまな方法で試みがなされています。


          吃音のカウンセリングを受けている女性

言語聴覚士による診断・改善
脳疾患、その他、体の外傷に起因する吃音(獲得性のもの)の改善に適しています。発語神経を修復する話すためのリハビリ的な改善方法です。

心療内科・精神科・神経内科での受診(カウンセリング)
過度なストレスにより吃音がひどくなっている場合、緊張を緩和させるための精神安定剤などの服用の処置を行います。

民間の吃音矯正所(クリニック)
吃音矯正所で行われている対症療法では、腹式呼吸をはじめ、発声練習をしています。指導内容の詳細は個々の矯正所で異なります。

一般の話し方教室
軽度であるなら、受容的な雰囲気の中で人前で話す経験は、話す自信につながります。正しい発声の指導を受けるので、正しい発語感覚を掴むきっかけにもなり得ます。



注意していただきたいこと:吃音改善をうたっている教材
ネット上には吃音改善の教材販売のホームページが多数(元は同一の教材)ありますが、誇大広告(効果の誇張)と実際の内容の隔たりに問題があるものが見受けられます。
また、根拠のない仮説を、まことしやかに記していることも問題です。

教材の内容は、一般のセミナーで使われる自己啓発(心理、メンタルトレーニング)に吃音関係の知識を加えたものです。

※ 誇大広告とトラブルに関する消費者庁HP:
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/webhyouji.html

ネットユーザの識別力が問われています。

ご理解いただきたいこと。


          楽に話すイメージ、手と青空    


吃音は治療するものではありません。ここで取り上げている吃音は内因性のもので、発声器官や脳の障害による外因性のものではありません。

改善の方向はあくまで安定した話し方の習慣作りにあります。電話カウンセリングでは、受講生が安定した話し方の習慣を身につけることを目標としています。

吃音改善は治る・治らないという白・黒で分けるような世界ではありません。吃音意識があっても話し方を調節できるようになることが、正しいあり方です。

吃音を直そうと焦らないことが大切。体質改善と同じように実践と経験の地道な積み重ねが必要です。改善に必要なのは頑張り力ではなく、良い話し方に向けた習慣力です。

吃音意識(発語予期不安)、どもる感覚があることをそのまま受けとめつつ、安定した発語フォームを実践を通して身につけ育てていくことが健全な姿勢です。

発語予期不安を消そうとすることは意味がありません。無くそうとすればする程、こだわり・囚われ意識が助長されます。安定した話し方の調整能力が身につくに比例して、過度な不安感も和らいでくるものです。

電話や人前で話す際、緊張してどもるものですが、緊張していなくてもどもって話していたり、言い換えをしていることがあるものです。日常会話で偽りのない安定した話し方の実践が話すことの自信につながります。

ひとりだけで音読をするときでもどもる、あるいは実際の会話が成り立たない重度の方もおられます。このような方は基本的な発語練習を繰り返す必要があります。

吃音の症状・レベルは個人によって異なります。けれど安定した話し方に共通している発語感覚があります。それを身に付けていくことが改善の正しい方向です。





吃音改善に向けて・・・発語予期不安があっても構いません。


          吃音の悩み

過去に吃音経験が全くなくても、一度ことばのひっかかりを経験すると、また言えないのではないかという不安感情が出てきます。

言いたくても言葉を出せないことは不安な経験であり、これを一度経験すると、不安は折々の場面で浮上してきます。

また、幼児期に吃音があって、成人する頃には殆ど消えて改善されている場合でも、仕事での業務連絡など、正確に話すことが要求される立場に立たされますと、再び吃音の意識が浮上してくる場合があります。このような時に、発語不安を除こうとすればする程、逆に意識が入ってことばが硬くなり言い難くなってしまうものです。

多くの場合、発語不安はあってはならないと考え、それを消そうとするのですが、逆に話し方の神経症的傾向を深めることになり、吃音の改善に逆行することになります。

吃音改善のプロセスで大切なことは、不安感情が出ないようにするのではなくて、不安感情の中でも自分の言うべきことばで話すことのできるコントロール領域を広げていくことです。発語をコントロールできるようになっていれば、不安感情が浮き出ても実質上、問題はないのです。




「完全主義」は吃音改善の妨げになります。

人前では絶対ひっかかってはいけない、いつも流れるように話さなければならない・・・など、自分の理想とする完全な話し方を求めると、完全主義の落とし穴にはまってしまいます。

誰でもことばが絡まったり、時には「そ、そ、そうですか?」などと連発することがあるものです。テレビキャスターがあわただしい報道の現場で吃音気味に話すこともあります。少々つかえることは恥ずかしいことでも何でもありません。

完全主義は自分の弱み(吃音のこだわり)を他人に知らせてはならないという、自己防衛意識の表れのひとつともいえましょう。

また、あの時の電話での話し方がどうだったとか、自分の話し方を自己評価することで、軽い吃音も意識に引きずってしまうものです。朝の一回の電話が自分の思うようにいかなかった時など、落ち込んだ気持で一日を過ごすことになります。

自己評価は自分の理想とする願望を尺度として測りますので、たいていは自己基準に到達していない自分に低い評価を出し、結果として話すことへのこだわりが助長されてしまうものです。

「完全主義」「自己評価主義」はゴミ箱に捨てましょう。

吃音感覚があってもこだわらず、安定した発語感覚をひたすら実践していく姿勢が吃音改善の正しい筋道だと思います。


          電話応対の女性



電話カウンセリング&レッスンでの4つの改善ステップ

「さわやかカウンセリング」では吃音改善のための電話でのカウンセリング&レッスンをしております。

改善ステップ 1 テキストにそった楽な発語感覚を育てる

テキストにそった音読・会話練習で、適切な息継ぎ、力みのない発語、緩やかな語り感覚を体で確認していきます。特に日常、早口で話しておられる方は、しっかり覚えていただきたい基本です。
朗読と実際の会話は異なりますが、原稿にそったスピーチ演習は、そのまま実践に使えます。

改善ステップ 2 自分の安定した話し方を探っていく(発語フォームを育てる)

改善ステップ1のテキストにそった発語は比較的、楽です。文字をたどる発語だからです。課題は日常の話し方です。職場や学校などで、レッスンで学んだ感覚をどれだけ活かし続けるかが改善のカギとなります。

吃音改善は話し方の体質改善ともいえます。これは普段の何気ない会話の中で育まれるものです。「今は身内との会話だから特に話し方に注意しなくても大丈夫だ」と思って従来の雑な話し方をしていると、職場などでのイザという場で慌てるものです。
「今はリラックスできるから話せる」「今は緊張して意識するから話せない」という二つの世界の二極化を縮めていくことが大切です。
普段から安定感のある話し方を意識していると、この心理の差が縮まっていくものです。

改善ステップ 3 発語予期不安を感じながらも、話せる体験を重ねていく。

「またことばが出てこないのではないか・・・。またどもってしまうのではないか・・・」という発語予期不安は簡単に消え去るものではありません。大勢の前で話すときなどは不安が募ります。

しかし、日常生活で適切な話し方を習慣化していると、緊張・不安の中でも話せる体験を持つことができるようになります。発語不安と共存していくことが大切です。

さらに進んだ段階は、正しく話す制御力が発語予期不安に勝り、言えないのではないかという不安感情が殆ど起こらなくなる状態となります。


改善ステップ 4 調節感覚を自分で維持していく。

うまく話せる自信がついても、調子の良いとき、悪いときと波があるものです。必要によっては時折レッスンをすることで、安定した話し方を維持していただきたいです。