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「ありがとうございます」が言えない|吃音(どもり) Q&A(3)

ご質問

Q.15 会社の電話で「お電話ありがとうございます。」だけが言えなくなってきました。日常の会話はすべて問題はないのですが、私も吃音なのでしょうか?  

A. 日常の会話や人々の前でのスピーチなどでは全く問題がなく、「お電話ありがとうございます。」だけが言えないということですが、自分が普段話すことにどのような意識を持っているかを明らかにしていく必要があると思います。チェックリストをご覧になればおわかりかと思います。

電話などで特定のことばだけが言えないとおっしゃる方の背景を伺ってみますと、次のようなことが部分的にあてはまることが多いです。

話すことに妙なこだわりが生じ意識するあまり、実際にことばが出にくくなっているのならば、軽い詰まり意識をお持ちと言えましょう。電話レッスンで安定した発語感覚を身に付けることをお勧めします。

   

Q.16 「ありがとうございます」の「あ」とか、「お世話さまです」の「お」などでつまってしまいます。楽に言えるための良いアドバイスをください。

A. 引っかかりやすいフレーズの例を挙げてみますと、
電話をいただき、りがとうございます。」
「毎度世話さまです。」
「ご返事を願いたします。」
「何かことづけがございますか。」
吃音心理をお持ちの方は、上のようなフレーズを言う時、母音(赤字)の前で止めようとしたり、息継ぎをしてしまう傾向にあります。
母音(あいうえお)が言い難い理由を考えますと、

これらの要因が重なり、実際に支障をきたす経験をすると、「またこのことばは言えないのではないか」という吃音意識の悪循環にはまってしまうものです。
楽に言えるための方法をご参考までに申し上げます。


 

Q.17 私は人前で話そうとすると緊張します。どもりが矯正されると緊張しなくなるのでしょうか。

A. 問題となるのは、何に対して緊張するのかという緊張の質だと思います。詰まり意識の核となるのは「不得手なことば(単語)がその場で上手く言えるか言えないか」という吃音の発語予期不安です。以前上手く言えなかった、やっとの思いでことばが出た・・という苦い体験が感情となって浮かび上がり、また今度も・・・という不安のため緊張感が増幅され、舌や喉の力み、横隔膜の緊縮などの体の反応が生じてきます。
話し方の改善とは、緊張する中でも発語をコントロールできるようになることです。すなわち、過去上手く言えなかったという記憶からくる不安、焦りから生じている緊張の中でも、確実な発語ができるようになることです。

話し方が改善されてくると、様々な場面での対応の余裕が少しずつ出てくるものです。会議での発言、研修会でのグループ発表、PTAでの自己紹介、会社の朝礼など、以前は完全に気後れしてしまったのが、言い換えなしに話せるという自信が生まれてきます。
しかし、さらに数百人の会衆の前での司会などとなりますと、単にことばを発するということだけでなく、いかに上手くプログラムや話を進めていくかという話す内容の質が問われてきます。発語不安がなくても当然緊張するものです。この緊張は健全なものと言えましょう。


Q.18 レッスンの時は上手く話せるのですが、職場での緊張する場だとなかなか上手くいきません。良い方法はありますか?

A. レッスンでは次の2つの改善ステップがあります。

  1. レッスンで100%納得のいく発語ができるようになること。
    レッスンではテキストにそった朗読、会話演習ですので話しやすいと思います。腹式呼吸の息継ぎ感覚、ことばの繋がり感覚、伸ばし感覚などが養われる筈です。

    しかし、レッスンのためのレッスンで終わってしまう落とし穴があります。レッスンで楽に話している時、もう一人のあなたがそばにいて、「ああ、こんな調子でいけばいいのだな」などと自分のなかで会話をすることをお勧めします。
    レッスンは自分の話し方を客観視できる力を養う場でもあります。

  2. レッスンでの発語感覚を日常生活の場に刷り込んでいくこと。言い換えれば、自分なりの話し方フォームを作っていくことです。 レッスンではこのようなことをお勧めしています。
    • 家族や友人との会話で出だしの音を伸ばす、語尾を伸ばすことをさりげなく実践して、ひっかからない話し方の感覚を時折意識していくこと。
      話に夢中になるといつの間にか胸で息をしていることがあります。息継ぎにも注意していただきたいです。
    • 言葉の言い換えを減らしていく。
      言い換えをしていると発語の抜け道に頼るようになり、確実な発語感覚を養うことを妨げてしまいます。レッスンを受けている限り、言い換えをしたくなったら元のことばを確実に話す実践の機会としていただきたいです。
    • 職場で業務連絡などする時に、自分のことばが相手にしっかり届いているかを確かめること。
      自分で納得のいく話し方をしていて、相手が自然に話を聞いているようでしたら、「この話し方でいいのだな」と自分にOKを出してください。自分の話し方を距離を置いてみていく客観性は、話し方改善の最終段階に不可欠と思います。
    • 話す場面にチャレンジしていくこと。
      レッスンを受けていないのであれば、思うように話せない体験はマイナスの体験として心の傷となっていくことがあるかも知れません。しかし、レッスンで安定した発語感覚を確認しておられるのですから、すべて実践の経験であり、心の傷とはならないものです。

      私の話し方改善のプロセスをふり返りますと、社会的要求に応じることができるようにその都度挑戦を受けてきたことにあると思います。話すことの真の自信は外的刺激(緊張)のある中で育まれるものです。
      いつも上手く話さなければならないという“話し方完全主義”は捨てて、話す機会をどんどん利用することをお勧めします。

Q.19 職場ではあまりどもらないのですが、家族と話す時はなぜかひっかかってしまいます。

指導

A. 恐らく職場では話し方に気をつけているので吃音が比較的出にくく、家族との会話では感情がそのまま前面に出てしまい、話し方には意識を払わないからだと思います。
これとは反対に、家族との会話はスムーズなのに、職場ではつまるという場合もあります。(こちらの方が多いですが・・・)
いずれにせよ、大切なことは、家族(両親)、友人などとの身近な人との会話を雑にしないことです。

自分の気持ちを抵抗なく表せる場こそ、その場の勢いでべらべら話すことをしないで、自分の話し方を距離をもって見るような感覚を持って、後味のよい話し方習慣を目指していきたいものです。

Q.20 レッスンを受けていて、改善に適した環境とそうでない環境とがあるのでしょうか。

A. 話し方改善に適した環境、不適切な環境というのは受け止め方に個人差があり、良し悪しは申し上げられませんが、今までレッスンをさせていただいた経験の中で、あえて不適切と思われる環境、吃音を生じさせる環境を申し上げますと・・・


Q.21 一般の人は腹式呼吸など知らなくてもちゃんと話しているのに、なぜ腹式呼吸を指導するのですか。

A. 確かに、放送関係などの特別な立場の人でない限り、腹式呼吸を意識して話す人など殆どいないと思います。一般には幼児期に耳から聞いたことばをそのまま発語して学習しているわけで、腹式呼吸など知らなくてもそれぞれのやり方で話しています。
けれど、ひとたび吃音(どもり)意識を持った場合、安定した息継ぎ(呼吸法)を意識して習慣にしていくことは必要だと思います。

吃音を出しているときの胸による浅い呼吸の息継ぎは、軽い「しゃっくり状態」になっていて、ことばが短く区切れがちとなります。
安定した話し方習慣の確立のためには、どうしても腹式呼吸の息継ぎ習慣を定着させていくことです。

一方、腹式呼吸ができれば吃音はすべて解消という簡単な構図は成り立ちません。あくまで自然な発語プロセスの一部です。

私自身、別に意識しなくても腹式呼吸で話しています。習慣化すると、ことさら意識しなくても当たり前のこととして定着していくものです。

   

Q.22 何回ぐらいレッスンを受けると、どもり改善の結果がでるのですか。

A. 話し方には個人差がありますのでなかなか答えにくいです。
レッスンの目的は、適切な話し方を習慣化することによって、緊張する中でも確実に自分の言わんとすることばを言えるようになることにあります。レッスンで提供される安定した話し方という素材を、自分の話し方に採り入れていくことが改善の方向性です。
受講生が「これだな!」と確かな話し方の方向性を感じ取っていくのは、個人によって異なりますが、5回目位からでしょうか・・・。

Q.23 吃音を直そうとすると、かえって話すことに神経質になってしまうのですが。

思案する女性

A.おっしゃる通りだと思います。直すとする意識ですと、「こうあるべき」という基準を作り、それに到達しようとするのですが、ちょっとしたことでも「またどもった」「まだ改善されていない」と神経質になり、マイナスの意識に入ってしまうものです。

けれど、安定した話し方習慣、ことばがひっかかった時の立ち直り習慣を身につけていく姿勢は、健全で前向きなエネルギーを生み出すものです。神経質になることとは別です。

吃音を直そうとするのではなく、発語不安感情をそのまま受けいれつつ、安定した話し方習慣、立ち直り習慣を“身につけていく”という姿勢が健全だと思います。


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