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吃音カウンセリング&レッスン体験談(18歳~25歳)(P.5)安定した自己紹介 他


(自己紹介 カウンセリング&レッスン 体験談)  

 企業の内定式で、どもることなく自己紹介をすることができました。

Mさん(名古屋市在住 24歳 大学院生 男性)

私は来年4月に就職を控えている大学院生です。

どもる感覚は幼少時からありましたが、中学時代が一番ひどかったように思います。

最近の日常生活では吃音は目立たなくなりましたが、大学でのゼミ、学会発表など、人前で緊張感を持って話をする場面ではどもってしまいます。

特に、就職活動での面接,電話応対では苦労しました。どれだけ練習しても、いざ面接の場に臨むと、緊張しているからか、吃音が目立つようになってしまいます。

また、電話での喋り出しも最悪です。自分の名前すらまともに言えません。何とか内定はいただけましたが、このままでは社会人になった後に非常に苦労すると思い、レッスンの受講を決意しました。

私がこのレッスンの気に入っているところは、吃音を「治す」のではなく「付き合い方を育む」スタンスをとっていることです。だから、治そう治そうという強迫観念を持つことなく、気を張らずにレッスンを続けることができます。

先日、企業の内定式に出席しました。式の冒頭で、内定者全員の自己紹介がありました。今までなら確実にどもっていた場面でしたが、少し遅めの発語と、レッスンで学んだ「のびを意識」を実践して、どもることなく自己紹介することができました!小さな出来事と思われるかもしれませんが、私にとっては非常に重要な体験でした。

より安定した発語感覚を育て、今後の学生生活、来年4月からの社会人生活に役立てたいです。そして、自己紹介など、人前で話すことを心から楽しめるようになりたい、と願っています。



 国際学会で英語での研究発表をすることができました。

上記のMさんの追加体験談です。

先月、国際学会で英語のスピーチをする機会がありました。レッスンの助けを得て、無事成功裏に終わりましたので、その顛末(てんまつ)を報告します。

昨年の秋、私が大学院で行っている研究の成果が認められ、ベトナムで開かれる国際学会で研究発表をすることが決まりました。ところが当時はまだ吃音意識を強く持っており、しかも初の海外、初の英語での発表ということもあって、どうしようかと思い悩んでいました。

その時、既にさわやかカウンセリングを受けていましたので、この件について江田さんにレッスンで英語のスピーチ練習をしたいと申し出たところ、快諾していただきました。

発表の一週間前、スピーチ原稿をメールで送り、レッスンに臨みました。話す時の伸びの意識などは日本語でのレッスンと同じですが、英語でのスピーチのコツとして、アクセント(強弱)をはっきりさせることを指摘していただきました。

私の話し方を聞いていただき、アクセントが間違っているとその都度、訂正していただきました。また、アクセントを意識的に強めに出すと、英語らしく聞きやすくなることも指摘してもらいました。

国外へ発つ前日にもレッスンをして、完成度を高めました。そして、現地へのフライト中、発表前日のホテルでも、レッスンで指摘されたことを意識して練習しました。

いざ本番。ゆっくりはっきり大きな声で、20分弱の研究発表をこなすことができました。念のために大きく印字した原稿を持っていきましたが、一度も目を通さずに、聴衆の方を常に向きながらスピーチできました。

さらに、スピーチ後の質疑応答は、拙い英語でしたが、何とか自分だけで受け答えすることができました。

発表後、海外の聴講者や同僚から「とても聞き易かった」と褒めていただけました。後から振り返ると、何箇所か詰まっていたとは思いますが、スピーチ中は全く気にしていませんでした。

レッスンでご指導いただいた「神経質になり過ぎないこと」という感覚が実感として少しわかりました。

レッスンや自主練習の甲斐があって、今までの人前でのスピーチの中では一番と言っていいくらいの満足できるスピーチができました。

テキストに沿った練習だけでなく、それぞれの事情に柔軟に対応したレッスンをしてくれるので、私にとって非常に心強いです。

※ ひ と こ と :
日本語は音の強弱(ストレス)が英語と較べて弱いので、平坦な日本語感覚で英語を話すと聞きづらくなります。英語圏の人がジェスチャーを強く出すのは、ことばのストレスが日本語より格段にはっきりしているからだと思います。
国際学会で、聴衆に聞きやすい話し方を第一に意識したスピーチの成功体験を伺い、とても嬉しいです。




 職場の人に『電話で詰まることなくなったね』と言われました。

Tさん(埼玉県在住 23歳 会社員 男性)

私が記憶する限りでは、幼稚園の頃にはどもっていたと思います。前に一度、いつから私の言葉がつっかかっていたのかを母に尋ねてみたことがありますが、母が言うには3歳くらいからその傾向があったようです。

吃音、つまり「言葉が引っかかる」ことを自分自身で意識し始めたのは小学校に上がってからだったと思います。国語の朗読など、決められた文章を大勢の前で読むとなると言葉が出ず、その時の周囲の「なんで?」という視線や空気が酷(ひど)く苦痛だったことを思い出します。

物語を読むことは好きでしたが、「国語の授業」は非常に苦手でした。反面、言葉を発しても吃音が出ない音楽の授業は好きでした。普通の生徒が嫌がる独唱を嬉々(きき)としてこなす私を見て、「なぜ歌ではつっかからないのに書いてあることが読めないの?」と言われて返答に困ってしまったのは苦い思い出です。

自己紹介や電話も苦手で、自分の名字を言うことができず、次第に電話に出ても「もしもし」としか言わないようになり、挙句の果てには電話に出ないこともありました。その点、話す相手が特定されるため自分の名前を名乗らずに話出すことができる携帯電話の普及は、非常にありがたいものでした。

進学するにつれて、単なる朗読というものは減りましたが、教師が「○○、ここ読んでくれ」という進め方をする授業では、ひたすら自分に当たらないことを祈っていました。また、何かを発表する機会が進学するにつれ増え、そのつど陰鬱な気分になっていました。その中でも特に、時間制限があり、話す内容も決められてしまう研究発表は大の苦手でした。

対策と言えるものには、小学校の頃に「ことばの教室」へ数年通っていたことぐらいでした。その時にやったのは担当の先生と何かで遊びながら会話を重ねるというものでした。効果は多少なりともあったのだろうとは思いますが、話し方の変化は無かったと思います。

年齢を重ねるにつれて吃音による苦痛が強くなっていき、自分なりに話し方などの改善を試みていきました。そのおかげか、高校を卒業する頃には小学生の頃に比べて大分マシになっていたと思います。しかし、その分だけ「ア行の言葉が出にくい」というように、出ない言葉に対する発語不安は強くなっていったのではないかと思います。

そんな私ですが、この春に運よく就職することができました。4月から社会人となって働くことになったわけですが、やはりネックになってくるのは吃音でした。日常会話ではほぼ大丈夫なのですが、自己紹介や朝礼などの人前で話す場面ではどうしてもどもってしまいます。さらに電話対応などで決まり文句を言う場合にもどもってしまうことが問題となってきます。電話対応について上司や先輩に教わり、初めはミスしても「緊張してるからね」と流してもらえますが、それが数回繰り返されると「どうしたの?」という反応になってきます。

幸い今の職場の人たちは皆優しく、そのことについて怒ったり執拗に詮索する人はいませんし、電話相手を怒らせてしまうようなことはありませんでした。

しかし、このような電話対応や自己紹介、企画のプレゼンテーションなど、話すことは働く上で一生ついてまわるものであり、学生の頃のようにその瞬間は嫌でも乗り切ってしまえば終わりというものではないと実感しました。

そこで、少しでも改善したいと思いインターネットを用いて調べた結果、「さわやかカウンセリング」に出会いました。初めは正直な話「信用できるのかな?」と不審に思いましたが、江田先生の体験談や吃音に対する考え、そして多くの体験談を拝見してとても共感しました。

今は就職しているので、レッスン料に関しても問題無かったので、思い切ってレッスンを受けることに決めました。

6月から始めて週一回のペースでレッスンを受けてきましたが、そのなかで先生から教わった「安定した発語感覚を身につける」ことや「自分が吃音であることを受け入れる」という考えは、いままでの捉え方を覆(くつがえ)すものであり、感銘をうけました。

それらのアドバイスを参考にし、新たな考えで日々の発語に気をつけるようにしていたところ、つい先日に電話対応をした時になにげなく職場の人が「電話で詰まることなくなったね」と言ってくれました。この言葉のおかげで自信がつき、いつも陰鬱(いんうつ)な気分の原因となっていた電話対応がそれほど気にならなくなりました。

まだまだ詰まってしまう言葉も多く、発語不安もあります。コントロールするには時間がかかりそうですが、これからも安定した発語感覚を目指して頑張ろうと思います。

※ ひ と こ と :
「必要は発明の母」と言われるように、「必要は改善の母」です。社会人となったTさんに自己紹介などでの話し方のステップアップが求められたことは、良い発語習慣を身につけていくチャンスととらることができます。職場で家庭で、良きお話し経験を重ねてください。


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