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電話応対が悩みになる吃音心理と対策(3)

 オフィスでの電話応対の難しさと悩み、またその対策

「電話は相手が見えないから気軽でいいい」とおっしゃる方がおられますが、これは吃音意識に悩んでおられる人にとっては「どうして電話が気楽なのか?信じられない!」ことなのです。

社会人になってから言葉が詰まる吃音意識を持つようになったという方々がおられますが、そのきっかけが会社の電話であることが多いようです。職場の電話のストレスが多い理由として、

私が新入社員の頃、事務所の人達がそれぞれ自分の電話で話している時を見計らって取引先へ電話をしたものです。ですから、余計な神経は使うし、仕事の効率は悪くなるしで、大変疲れました。

このように職場での電話では、電話の相手と、自分の周りの人々という両方からの挟み撃ちにされているような心境にさせられます。

この電話で上手く話すコツですが、その対策をご参考までに申し上げますと、

いずれにせよ、日常生活の中で、(電話レッスンで習得した)自分の納得のいく安定した話し方を実践し続けることが、電話応対などの場面で良い結果を出すことと思います。。

 長い言葉より短い方が、発語不安が増すものです。


発語不安


何気ない会話では比較的楽に話せるものですが、伝達の要素が強くなると発語不安がでてきます。特にどうしてもこれを言わなければ全く意味をなさない、伝達できないという単語に意識が集中します。
「○○時にお集まりください」「○○さんよりお電話です」とか、名前をきかれて「○○です」の○○は、すべて他のことばに替えることのできない最重要単語(キーワード)となります。「私はバスでここに来ました」では、「バス」がキーワードです。ガソリンスタンドで、「レギュラー、満タンお願いします」では、キーワードは「レギュラー」、次に「満タン」です。
「おはようございます」の挨拶でも、朝礼での人前では「おはようございます」そのものが言い替えのできないひとまとまりの単語として意識されますので、吃音の発語予期不安を覚えるものです。

人とのコミュニケーションで、キーワードを意識することはとても大切なことです。「社長は5時にお帰りになります」では「5時」がキーワードですが、これをしっかり意識しないで曖昧に伝達するようでは困ります。このように誰でもキーワードを意識するものですし、意識してこそ正しい伝達ができます。

健常者はキーワードを意識しつつ、それをことばの流れに乗せて話します。吃音者はキーワードが意識の中で強く浮き上がってしまい、そこにくるとことばの流れを止めてしまいます。

改善の方向としては、キーワードがことばの流れの中の一単語としてイメージされること。特定の単語だけの発語の場合は、いかに丸みをもたせて発語できるようになるかだと思います。

 話し方の改善は体質改善と同じ事。

糖尿病、心臓病、脳卒中などはかつて成人病と呼ばれていましたが、今は「生活習慣病」との表現が定着しています。不適切な習慣を続けるとこのような病気になる率が高くなるので、食生活・運動・休息など、健全な生活習慣の認識を持って実践していくことの重要性がうたわれています。

吃音の改善とは体質改善とよく似ていると思います。安定感ある話し方を願うなら、家族などの身近な人との会話の中で、レッスンで練習した確実な話し方を意識し実践し続ける習慣を築いていくことです。特に家族などのごく身近な人と話す時はあまり話し方には注意を払わないものですが、この何気ない会話をいかに丁寧にしていくかが、職場や電話や人前でのスピーチの際の安定感につがっていくものです。

司会で講師の略歴紹介など、あらかじめ定められたことを言うのが難しいと感じる訳。


スピーチ


発語不安を持ちながらも人前でそれなりに上手く話せるのに、あらかじめ定められた伝達内容を話すことに難しさを感じる理由は、ことばの言い換えが出来ないことにあるようです。
例えば、結婚式などでのスピーチでは緊張するものの、自分の言いやすいことばで話すことができます。しかし、仲人として新郎・新婦の略歴紹介をするとなりますと、経歴などは言い換えが出来ませんので、吃音意識を持った方にとってはとても言い難くなるものです。

話をする自信をつけていくためには、先ず話をすべて文章化して、固有名詞など確実に頭に入れて実際に口に出してみることをお勧めします。練習通りに上手くいかないこともありますが、予め決まっている内容は事前の練習は必要と思います。

言い換えが必要な時があるかと思いますが、常習的になることは避けたいです。

 一人だけでも特定の音がつかえて言えないという人もおられます。

吃音は自分の話を他人が聞いているという外的刺激の反応によって生じ、喉、舌の力みや、横隔膜の緊縮による呼吸の乱れが引き起こされ、発語が不安定になります。
しかし、ペット(動物)などに話しかける時などの外的刺激(反応)がない状況では、ほとんどの場合ひっかかりなく話せるものです。吃音意識をお持ちの方の多くはこれに該当すると思います。

しかし、全く一人であっても発語できない方もおられます。

たとえば、「田村」という姓を長年無理に発語していると、脳の言語神経が舌の力みと完全にリンクしてしまい、舌全体が上あごにべったりついてしまう力んだ「タ」しか発音できなくなってしまいます。



※下のフッターの 「診断チェック」吃音心理(1)(2)(4)で、更に多くをお読みいただけます。