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吃音改善 体験談(18歳~25歳)(P.14)
「ありがとうございます」が楽に、他



「『ありがとうございます』が詰まる不安がなくなりました。」
Eさん(神奈川県在住 25歳 会社員 女性)
「以前はバイトでの「ありがとうございました」が詰まるのがストレスでした。」
Yさん(京都府在住 19歳 大学生 女性)
「話すことの余計な不安を持つことが少なくなってきました。
Mさん(岐阜県在住 25歳 会社員 男性)


吃音をお持ちの方で詰まる言葉に多く挙げられるのが「ありがとうございます」「ありがとうございました」です。
 詰まる理由として、相手に対して言うタイミングが必要とされること。そして初めの音が「あ」という母音であることです。「あ」などの母音は喉に力みが入ると発語しにくくなります。詰まり出すとますます焦って言おうとしますので、一連の「ありがとうございます」「ありがとうございました」の言葉の流れが固まってしまいます。

このページでは「ありがとうござます」「ありがとうございました」が詰まり言いにくかった経験を持つ方々の体験談を記しています。


    電話応対の女性


(「ありがとうございます」の言い方体験①) 

 「ありがとうございます」が詰まる不安がなくなりました。

Eさん(神奈川県在住 25歳 会社員 女性)

私は普段、電話のオペレーターの仕事をしています。オペレーターの仕事をしていると、とても話す事が得意と思われますが、まったくそんなことはないのです。いつも「どもったらどうしよう」とか「言葉が詰まって出にくい事がお客様にばれたらどうしよう」などと思いながら電話に出ていました。

電話に出るときは「お電話ありがとうございます。担当の◎◎です」や「お待たせいたしました」で始まり、終わる時には必ず「ありがとうございました。担当の◎◎が承りました。」で締めくくるのですが、「あ」や「お」などの最初の言葉が詰まってなかなか出てこないのです。話す事をかなり過剰に意識してしまい、言葉が詰まるから途切れ途切れ話してしまい、よく自己嫌悪に陥っていました。「ありがとうございます」が言えなくて「失礼致します」と言葉を代えて電話を切った事もあります。言葉を出したくても詰まって言葉が喉から出てこないのです。

言葉を出せないと思っているから言葉が詰まり、言葉がスムーズに出るようにと自己暗示をかける事も苦しかったです。そんな時は息も苦しくてかなりのストレスでした。自分で自分を苦しめている感じで絶望的な気持ちでした。そして一緒に働いている人からは、「最近話す時苦しそうね!」と心配された事もありました。

私はもともと自分の話し方にコンプレックスをもっていました。最初の言葉が詰まってスムーズに出てこないのは、何かの病気と思っていました。神経が過敏になっているのかもしれない。言葉が出にくいのは私だけ。この病気を覚られてはいけない!本当にストレスがかかる言語障害と思っていました。でも話し方はその人自身を映すと思いますので、私もゆったりとした話し方の出来る人になりたいといつも心のどこかで思っていました。話す事が苦手だからこそ、なんとか改善したいと思っていました。

そんな中、「さわやかカウンセリング」のホームページをみつけました。本当は一年前から気になってはいましたが、行動に移す勇気がありませんでした。大変失礼ですが、「怪しい」とか「大丈夫かな?!」などいろいろ思っていました。でもさすがに吃音で苦しくなり、このままでは仕事も続けられない!と思い、思い切って電話をしてみました。江田先生がゆっくり話してくれたのでとても安心しました。でもレッスンでは安心してしまい詰まらないのです。ですからどもるかどうかは、心のあり方にかなり影響するのかもしれないと思いました。レッスンを受けてからはゆっくり落ち着いて伸ばすようにつなげて話すことを意識するようにしました。話し方の癖は簡単には直りませんが職場で電話を受けるたびに意識をし、なんとか頑張っています。
そのように意識をするだけでも違うようで、レッスンを受けてからお客様から、「とても丁寧で聞きやすくよかった」などと、お褒めの言葉をいただく事が多くなりました。決して丁寧な応対をしているつもりはないけれど、ゆっくりつなげて話すと相手には丁寧に聞こえるのかもしれないと思いました。

私の場合、隠れ吃音のようなものでした。普段は全く普通に話しているのですが、心ではかなり詰まることで悩んでいたりするのです。調子が良くなったり悪くなったりの繰り返しです。ある一つの言葉が言えるようになると他の言葉が詰まるようになったり、またその言葉が言えるようになると他の別の言葉が詰まり出す。恥ずかしい思いをしてやっとそのどん底から言葉を出せるようになったかと思うと、今度はしばらくしてその話せるようになったプレッシャーからまた言葉を出せなくなった事もあります。ですからかなり話す事が不安定でした。本当に吃音は精神的に辛いと思います。

まだまだ話す事に不安はありますが、普段から安定した話し方を意識して話す事が大切だとレッスンで学んでいます。時折「ありがとうございます」など詰まる感じがすることもありますが、その場で調節して安定した話し方が持続できるようレッスンで教わった事を意識していきたい思います。

※江田よりのコメント:
電話オペレーターとしてのEさんの仕事は長時間の電話応対業務です。お客様からの問い合わせやクレームなど、とても気を使いますし、話し方も上司の厳しいチェックが入り、高度な話し方レベルが要求されています。
Eさんの応対に「とても丁寧で聞きやすく良かった」とのお客様からの言葉をいただいているように、私が聞いていても申し分のない話し方です。良い実践を重ねてください。



(「ありがとうございます」の言い方体験②)

 以前はバイトでの「ありがとうございました」が詰まるのがストレスでした。

Yさん(京都府在住 19歳 大学生 女性)

私は物心ついた頃から吃音に悩まされてきました。幼い頃、父の仕事でアメリカに渡ったのですが、小学生の途中で日本に帰国しました。激しく言葉が詰まって自己紹介もままならなかった私を、みんなは私が日本語に慣れていなくて苦手なんだと思い違いしていました。そして小学4年生の時すぐまた転校しました。この頃から学校での国語の時間の朗読という、私にとって最も苦手な場面が出てきました。一段落ずつ読まされるのですが、最悪でした。

3年間の中学生活では良い思い出といえるものはありません。いじめにもあい、授業中教科書1ページ分など読まなければいけないときなど、辛かったです。読んでる途中の笑い声が未だに脳裏に残っています。

親にも相談しましたが、何回も音読して練習していきなさいと言うだけ。ついに不登校気味になって、初めて親が何か対策を探ってみると言ってくれました。

けれど、吃音改善をうたう教材の悪徳商法にひっかかったり、耳鼻科の言語外来にも通ったけど効果なし。耳鼻科の先生からは、個性だから気にしないようにといわれるだけでした。「こんな個性いらんしぃ。このまま一生治らないんだ、生きるのしんどい、しんどい・・・」こんなことばかり思っていました。

高校三年になると、心機一転しました。受験のための勉強や、甲子園出場が決まって、チアリーダーに熱中しました。受験対策の授業になり、一人ずつ読むということもなくなったので楽しく過ごせました。

めでたく大学に入学したのですが、ゼミなどで自己紹介しなくてはならないことが多かったので、またどもることが気になり始めました。

カフェレストランでパンの販売のレジでのバイトをしていましたが、お客さまに伝えなければならないことを伝えそびれてしまったり、「ありがとうございました」「○円のお返しです」などというフレーズも詰まってしまってスムーズに言えなくて、担当の社員に「なぁ、はよゆえや!」と何度も言われたり、手で払いのけられたり、嫌味を言われたりで、精神的ストレスになりました。

その頃、何とかしなければの一心で、さわやかカウンセリングのサイトを見つけました。江田先生ご自身のことや体験談を読んで、吃音で悩んでいるのは自分だけではないと知りました。

実際の電話でのレッスンで、「治そうとするのではなく、良い習慣を身につけていこうとする事が大事」と何度も言われました。江田先生は電話のレッスンではあるけれども、息遣い、呼吸の仕方など、微妙なところまでもよく聴きとって指摘してくれます。

カフェレストランのバイトでの話すことの難しさを江田先生に相談したら、「現実を受け入れましょう。今の自分の力を知ることは大事です。バイトを辞めることは逃げることではありません」って言ってくださいました。私はそのバイトを辞め、今は話すストレスの軽いイベントコンパニオンをやっています。

日常生活での会話は詰まることがありまだまだ改善の余地がありますが、精神的には以前より楽になりました。

吃音は治らない病気や障害ではないとわかるとやる気がわいてきます。地道な習慣づくりが今の私に必要なことです。今(現在)の意味は後(未来)になってわかる日がくると思います。また、今やっていることは、必ず未来の良い結果につながっていくこともわかります。

吃音を与えられたお陰で、人に優しくできる、人の気持ちを考えられるようになったと思います。これからも人とのコミュニケーションをはかって、自分自身がその場で楽しんでいきたいです。自分が楽しいときは相手も楽しいでしょうから。

※ ひ と こ と :
Yさんは話し出す直前に息を瞬時出す癖がありました。それが日常会話での息継ぎを不安定にしていたことに気づいて、今は安定した息継ぎを実践しておられます。このような気づきと日々の実践は、話し方習慣の大きな変化をもたらすものです。
大学では社会福祉の分野の学びをなさっておられるとのこと。人々との関わりの中で良きコミュニケーションをはかってください。



(「ありがとうございます」の言い方体験③

 話すことの余計な不安を持つことが少なくなってきました。

Mさん(岐阜県在住 25歳 会社員 男性)

私は幼少のころ少しどもっていたのですが、中学、高校ではとても楽しく過ごせていたため、吃音のことはほとんど忘れていて、気にならないようなそんな感じでした。

2年程前に再び言葉が詰まり始めました。それまでやっていた技術系の仕事をやめ、その後なかなか仕事が決まらず、精神的に不安定な時期が続きました。

そんな中、営業系の仕事に何とか就職できました。慣れない仕事ということもあり、すごく緊張し、電話応対で言葉が詰まってどもる自分を強く感じ始めました。「ありがとうございます」 「おつかれさまです」・・・そういった挨拶言葉を言おうと思っても「ありがとうございます」の「あ」、「おつかれさまです」の「お」などが詰まってなかなか出てこない状態でした。そして言葉が出てこないとき胸が苦しくなる感じがありました。軽いノイローゼ気味になりその会社を退社しました。

悩みました。本当に悩みました。直そうとすればするほど直らない。まわりの人はみな普通に会話ができる人ばかりです。誰もこの感覚は持っていませんでした。自分自身で解決方法を探しても余計深みにはまっていく感じでした。  

それでも、逃げるとさらに吃音という問題が自分の中で大きくなりそうで、逃げるのが嫌で接客業のアルバイトを探して働き出しました。

やはり正社員と比べるとアルバイトは立場的に気楽です。そのこともあり以前働いていたときより少しはどもらなくなりました。それでもやはり会話がすごく不安定なときもありました。言えない単語を違う言葉に置き換えてみたりなど、やはり悩んでる時間が多かったように思います。

そんな中、ネットで「さわやかカウンセリング」を知りました。自分と同じような悩みを抱えている人達がたくさんいるということも知りました。

でも私はすぐにはカウンセリングを申し込みませんでした。カウンセリングに申し込む事によって自分の中でどもる意識がさらに大きくなってしまうのを恐れたからです。「自分で直せるだろう」 「ほっておけばそのうち直るだろう」・・・そう考えていました。

しかしそう簡単にはいきませんでした。会話中感じるストレスも大きく、会話の調子が悪い日は落ち込んだりしていました。
まわりの人は普通にできる事なのに自分だけができない。しかも会話なんて誰にでもできる簡単なことなのに・・・」というような、劣等感、不安、孤独感がありました。

意を決してさわやかカウンセリングのレッスンに申し込みました。自分の中でどもる意識が大きくなるのではないかという不安もありましたが、自分一人で考えていないでカウンセリングに耳を傾けてみることによって 「何か変わるのではないか?」 「自分が信じる事ができる体験(自分のプラスになる体験)ができるのではないか?」 と思ったからです。

今その選択を思い出すと小さいけれどすごくポジティブな発想だったと思います。

レッスンが始まりました。言葉の発音の仕方や上手に話す方法、そしてどもる自分との付き合い方、どもるという事への考え方を江田先生が教えてくれました。それは自分一人では考えもつかなかった事ばかりでした。

何よりの変化は、仕事などの会話中に余計な不安を持つことが少なくなってきたことです。「できるだけレッスンで得たいい感覚で話す事に集中して、そこでまた詰まるようだったら、レッスンで安定感をつかんでいけばいい」と割り切って考えるようになったことです。以前、「ありがとうございます」の「あ」が言えるだろうか、など頭の中であれやこれや悩んでいた事がばかばかしく思えてきました。会話にも少しずつ自信がついてきています。  

しかし、そう簡単に全てが改善されるわけではありません。よい話し方の習慣をつけるため、そして自分の話し方に自信を持てるようになるために実践を積んでいきたいと思います。

※ ひ と こ と :
ガリレオ・ガリレイは、「人に何かを教えることはできない。できるのは、人が自分の中にあるものを発見するのを手伝うことだ。」と語っていますが、さわやかカウンセリングでは、受講生がすでに自分の中にある良き話し方の能力を見出すことのお手伝いをさせていただいています。



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