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吃音の悩みを軽く― 体験談(18~25歳)

「悩むことなくいろいろな可能性に目をとめていきたいです。」
Aさん(兵庫県在住 23歳 大学4年生 男性)
「吃音についての考え方が180度変化し、くよくよ悩むことはなくなりました。」
Kさん(東京都在住 22歳 大学生 男性)
「話し方をコントロールできる場面が着実に増えているのを感じます。」
Wさん(埼玉県在住 23歳 大学院生 男性)
「自分の喋りをコントロールできるようになってきたと思います。」
Nさん(宮城県在住 23歳 大学生 男性)


吃音(どもり)があると社会生活のさまざまな話す場面で、言えるかどうかと悩みます。
■会社の電話応対で
社名、名前などはことばを換えることはできません。周囲に自分の声が聞かれていることも言いづらくします。
■挨拶の場で
「ありがとうございます」などの決まりフレーズはタイミングを要しますので、どもって詰まると悩みます。
■スピーチで
聴衆の視線を受けながら話すことは、できることなら避けたいと悩みます。
■面接で
面接では一言一言がとても大切です。どもらないで話せるかどうか、悩みます。
■PTAなどの会合で
PTAの会合では自己紹介があります。「6年6組◎◎◎◎の母、◎◎です。」など上手く言えるか、悩みます。
■自分の将来の不安
どもりがあってこれから仕事をしていけるのか?不安がよぎり、悩みます。
■自分の話し方をどうみられているか
自分のどもりが知られることは恐怖であり、不安に悩みます。

一つ一つ吃音(どもり)の悩みを挙げていったら切りがありません。しかし、話し方の改善の方向性を身に付けていけば、悩むことは軽くなります。すべての話す場面が、話し方を高める実践の場となるのですから。



(吃音 悩み 体験談①)

 悩むことなくいろいろな可能性に目をとめていきたいです。

Aさん(兵庫県在住 23歳 大学4年生 男性)

私はすでに小学生の頃から、吃音に悩み不安な毎日を過ごしていました。自分なり改善の方法を探り、吃音矯正所にもいくつか通ったのですが、思うようにはいきませんでした。世の中にはもっと深刻な悩みを持っている方が多くおられると思いますが、自分の悩みとしていかにどもらないようにするかばかり考えていました。

大学まで進み、自分自身の今までを振り返り、またこれからを考えた時、何か新たなことをする際に吃音である現実がブレーキをかけていました。

しかし今回は、自分自身に挑戦しやり遂げたいという思いで、公務員試験を受験することに決めました。

この1年間という勉強期間は想像以上にハードなもので、直前期の2ヶ月間は毎日15時間は机に向かっていました。大学の友達ともほとんど挨拶程度で、一日中部屋に閉じこもりっぱなしの、会話の無い生活が続きました。日常会話が極端に少ないと、ことばの発語感覚が鈍り、息継ぎが不安定になることも経験し、日々の会話での実践がいかに大事かを改めて知らされました。

勉強中も常に、「筆記試験に合格しても、計4回ある面接でどもってしまって不合格になるのではないか・・・」という不安がいつも頭をよぎっていました。けれどレッスンを受ける中、吃音を直すのではなく正しい話し方習慣を身につけて上手く付き合っていくという考え方になり、気持ちが整理されてきました。

面接試験では、自分というものを評価してもらおうと全力で臨みました。実際の面接ではかなり緊張して名前が出にくかったこともありましたが、個人面接やグループディスカッションで自分の意見を述べることができました。これは、今まで話すことに引け目を感じ諦めていた自分が、今は正しい話し方習慣を身に付けているのだという光をレッスンを通してつかんでいたからだと思います。
そして念願の最終合格を勝ち取ることが出来ました。家族も涙を流して喜んでくれました。

今回、自分自身を振り返ってみますと、吃音であることの辛い事ばかり考えて悩むのではなく、人に対して優しく謙虚であることを学んでいたように思います。物の考え方次第でいろんな可能性が見えてくると思います。
これから社会に出て行くという中で、吃音を与えられたことをプラスにとらえ、レッスンを通して安定した話し方習慣を更に身につけていくと同時に、自分を磨きつつ人間的にも成長していきたいと思っています。

※ ひ と こ と :
3回にわたる個人面接、そして7人グループでの70分間のグループ・ディスカッションで、緊張の中にあっても話し方をコントロールして自分の意見を確実に述べていけたことは、実に貴重な体験でした。これからも言葉を通しての自己表現を自信をもって実践なさってください。




(吃音 悩み 体験談②)

 吃音についての考え方が180度変化し、くよくよ悩むことはなくなりました。

Kさん(東京都在住 22歳 大学生 男性)

私は、物心ついたときにすでに吃音がありました。初めはあまり気にならなかったのですが、小学校へ進学する頃には自分が普通に話していないことに気がつきました。小学生の頃はそのままの状態で、少し気になる程度でした。

ところが、中学・高校へと進学するにつれて、仲の良い友達から吃音をたびたび指摘されるようになり、意識が強くなっていったのをはっきり覚えています。普通に文章を読むことができず、自分が発言すると周りでくすくすと笑い声が聞こえてきたり、とまどいや驚きの表情をされたりという経験は数え切れないほどあります。頭の中では言葉が思い浮かんでいるのに、いざ人前で話そうとすると言葉がつまって、結果としてどもりながら話すことしかできませんでした。授業中では、テキストの朗読が自分にあたらないか常に気になっていました。

このような状態を認識していくうちに、どもることを障害の一種として受け止め、「自分は障害者に準ずる存在ではないであろうか」という気持ちが強くなっていきました。満足に自分の意見を言うことができず、仮に話したとしても強くどもりながら話す自分は本当に健常者であるのか、とよく自問していました。そして、なぜ自分だけがこんな話し方であるのか、自分は生まれてきてよかったのかなどと悩み色々考えました。今では、それが大きな間違いであったことに気づいていますが、当時は本当にそう信じ切っていました。

このような経過から、私はある瞬間から自分の吃音に対して思考が停止してしまいました。つまり、真正面から考えることをやめて、現実逃避してしまったのです。それは、勉強であったり、部活動であったり様々な形で表れました。

しかしながら、このままではいけないという気持ちが強くなり、自分の吃音について正面から考えることにしました。来年に就職活動が迫り、今のままではとても就職活動することはできないと痛感したのです。また、更にもっと他人に対 して自分の意見を確実に伝えたいという気持ちが強くなったことも影響しています。

そして、さわやかカウンセリングのホームページに出会いました。今まで、ただの一度も「吃音」という検索ワードを使用したことはありませんでした。それ程、私は吃音という現実から逃げていたのです。ですが、今回は固い決心がついていたので躊躇なく検索することができました。

レッスンを進めていく中で、自分が「吃音」という現実を受け入れられるようになっていることに気づき、考え方が180度変化しました。くよくよ悩むことはなくなりました。現実から逃げ続けていれば、今の心境には達していないはずです。

レッスンでの「自分でその都度調節できるようになればいい」という江田先生からのアドバイスを日々実感しています。上手く話さなければならないという完全主義を捨て、一語一語はっきり話そうとせずに音をつなげていくことなど、自分のペースで調節し、習慣づけしていくことがなによりも重要だと思います。

よくよく周囲を見渡してみると、大学の先生を含め、案外私のようにどもっている方がいることに気がつきました。みなさん自分なりの調節方法を持っていて、普通に話しています。私もレッスンを進めながら、あせらず悩むことなく自分なりの調節方法や立ち直り習慣を身につけているところです。

まだまだ場によって詰まることが多いですが、それでも少しずつ自分のコントロールできる範囲が広くなっていることが良くわかります。

※ ひ と こ と :
話し方のコントロールできる範囲が広がると、精神的にも余裕が出てきます。吃音の健全な受け止め方を深めつつ、良きお話し習慣を身につけていかれますよう。




(吃音 悩み 体験談③)

 話し方をコントロールできる場面が着実に増えているのを感じます。

Wさん(埼玉県在住 23歳 大学院生 男性)

今振り返れば、私が初めて自分の吃音を意識したのは小学校6年の時でした。先生にハサミを借りたときに「ありがとうございました。」が言いづらかったのを覚えていますが、その時はその程度であまり気にしていませんでした。

ひどくどもるようになったのは中学1年の9月頃だった思います。「先生!」と先生に何かを伝えようとしたとき、その後の言葉が出なかったのです。はっきりいってショックでした。今までそのようなことはなかったのですから。そのとき先生に「ん?」といったリアクションをされ、慌てふためいたのを覚えています。

それ以来、話すときに「この言葉はちゃんと言えるかな?」などと頭の中でシミュレートしてから話す癖がつき、言葉を意識しながら話をするようになりました。そして「これは言えないな。」と思う言葉は言い換えをするようになりました。しかし、言い換えれば言い換える程、私の心は傷ついていき、その事がまた更なる発語不安を引き起こすという悪循環に陥っていました。

今まで吃音で辛く悩んだのは、言いたい事が言えないために「お前、国語できないだろ?」とか「お前、学校の勉強は出来るのに(日常生活では)頭悪いよな。」とか言われた事です。こんな時には笑ってごまかすのですが内心、傷ついていました。またカラオケで電話でジュースを注文をするのが怖く、友達に電話してもらうときなど自分のことを非常に情けなく思いました。  

しかし、何よりも辛かった事があります。それはどもりはじめた12歳から23歳まで吃音という障害があることを知らなかった事です。この自分の症状はなんなのか、一生どもるのか、なぜ他の人たちはいとも簡単に話せるのだろう・・・、などとまるでゴールの見えない暗闇の迷路をさまよっているかのような11年間でした。悩み生きるのが嫌で死にたくなったことも何度かありました。

ひょんなことからネットで検索し、「さわやかカウンセリング」のホームページを発見したとき、私はこれに釘付けになってしまいました。なんとここのページには私と同じような境遇の人達がいるではありませんか!そして「吃音」という存在を知り、自分の症状が何であるのかが分かったとき、「ゴールの見えない暗闇の迷路」に光が差し込みゴールが見えてきたような気がしました。  

それまで私は発語不安を感じる事はいけないことだと思っていたのですが、江田先生の「発語不安は決していけない事ではありません。むしろ発語不安の中で言葉をコントロールできることが大事なのです。」という言葉を聞いて感銘しました。そしてこの先生になら全てを打ち明けられると思い、江田先生にお世話になろうと即決しました。

 同時に私の物事に対する意識もポジティブな方向へと変わりました。(というか変えました。)例えば、
   「言葉がどもる、憂鬱 ⇒ 少々どもってでも話せるだけ幸せ」
   「どもってるので正常者より劣る⇒正常者には体験できない吃音という世界を体験する事ができる」
   「コップに水が半分しか入ってない ⇒ コップに水が半分も入ってる」
   「雨でブルー ⇒ たまには雨もいいもんだ!」
  という感じです。

今は月1回ほどのペースでレッスンを受けています。まだまだ日常会話ではどもる場面もありますが、レッスンを通して、「話し方」に対する認識と「自分の話し方(スピード)」を再確認することにより、言葉をコントロールできる場面が着実に増えているのを感じます。
いつも「心地よい落ち着いた話し方」を意識していきたいと思います。

※ ひ と こ と :
不足していることを嘆き悩むのではなく、今あるもの、出来ることを受け止めていく思考こそ、さわやかカウンセリングの大切な柱です。 
 




(吃音 悩み 体験談④)

 自分の喋りをコントロールできるようになってきたと思います。

Nさん(宮城県在住 23歳 大学生 男性)

私が喋ることに対して不都合を感じるようになったのは小学2年位だったと思います。その頃の私は慢性的に声がかれていて、そのことを意識しているうちにだんだん吃音、早口になっていったのだと思います。

中学に進学してからは早口や発音の悪さを人に指摘されるようになり、だんだん人前で喋ることに対して恐怖感を覚えるようになっていきました。

高校、大学とその時その時で調子の良し悪しはあるものの、その漠然とした恐怖感は今でも続いています。私の場合、初対面の人と話すときや電話で話す場合は自分としてさほど違和感なく話せていると思っています。やはり人から指摘されてきた経験が自分の中の潜在意識として残り、それが早口につながっているのだと思います。

中学時代、高校時代、大学時代と度々なんとか早口や発音の悪さを改善しようとして発声練習は試みたのですが、練習すればする程、その分友達と喋っているときに自分の喋りを過剰に意識するようになって、逆に喋りが変になることがあり、悩む日々でした。これならまだ練習なんかしないほうがマシだと考えたりして、「これはもう治らないのかな」と半分諦め悩み続けていました。

そんな中で江田先生のカウセリングに出会ったわけですが、このレッスンに取り組んでいくにつれて、上手くコントロールして共生していくものであるという意識をもてるようになったのは非常に価値のあることだったと思います。

私は電話でのレッスンを受け初めて半年くらいになりますが、まだまだ完全とは言えないものの、少しずつ自分の喋りがコントロールできるようになってきたと感じています。レッスンを継続することによって良いイメージを持ち、また自分の喋りを客観的にみる良い習慣を身に付けていったのが良かったのだと思います。

今後もよりよい方向を見据えながら、良い意味で肩の力を抜いて、良い話し方を身につけていきたいと思います。

※ ひ と こ と :
「吃音を克服するのではなく、上手くコントロールして共生していくもの」との認識は、まさにダイヤモンドの輝きです。どもる意識を受け入れつつ、話し方をコントロールしていく習慣を培っていく。結果として話し方の改善がついてくるというものです。



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