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呼吸習慣をチェックしましょう ー 腹式呼吸のお勧め

チェック


呼吸習慣とは静かにしている時の呼吸のあり方です。ただ無意識に息をして、そして話すだけのことで、呼吸(息継ぎ)については無縁の世界であるのが一般です。

健全な呼吸習慣が求められる理由は・・・

吃音意識を持つ中で安定して話すためには、自分で自分の話し方をコントロールしていくことがどうしても必要だからです。吃音は発音そのものの問題というより、呼吸(息継ぎ)の不自然さによる発語プロセスの乱れが表面に出ていると思います。

ご自分の日常の呼吸(息継ぎ)のあり方をチェックして、健全な呼吸習慣を再認識なさってください。

 吃音を持つ人が胸呼吸になる傾向がある理由は・・・

不自然な息継ぎを繰り返しているからです。
ある特定の音を意識したり、意識しなくてもその場その場で引っかかりが多くなると慢性的に胸呼吸になります。例えば、

忙しいざわざ越しただきまして、りがとうざいます。」

の表現で引っかかると思われる箇所は、文節の出だしの赤字の部分です。どこかでひっかかって次の言葉を言うために、瞬時に息を入れようとします。そのときの呼吸は、胸呼吸となります。みぞおち(肋骨が左右に分かれている、胃の上の部分)に息が入るような、軽いしゃっくり状態の呼吸です。
これを一日何度もやっていると、静かにしているときもこの呼吸が続きます。

このように、会話で引っかかりの多い人は月日とともに当然の習慣として胸呼吸が定着していきます。体を動かしているときは誰でも胸呼吸になり自然な動きなのですが、静かにしているときも胸呼吸がそのまま続いていますと吃音を誘発するものです。(この不安定な嫌な感覚は経験者はおわかりと思います。)
吃音者が自分で朗読練習をしても改善につながらず殆ど意味がないのは、健全な呼吸がわからず、胸呼吸でそのまま読んだり話したりしているからです。

 腹式呼吸の勧め

腹式呼吸は肺の下にある筋肉質の横隔膜の上下運動につながり、軽い呼吸でも肺の奥まで空気が入り、発語の伸びがよくなります。

下腹部(おへその下)を軽くスッと膨らまして、口から息を入れます。(ここでは話すことを前提としていますので口から息を入れます。黙っているときは鼻から息を入れてください。)入れた息は溜めずに自然にはきだします。力みを入れずあくまで自然になさってください。

声楽(コーラス)で指導される腹式呼吸はお腹に瞬時、軽い力みが入りますので、話をするには強すぎて不適切です。

 日常の呼吸習慣としての腹式呼吸

腹式呼吸を心がけるといっても、日常の生活であまり呼吸に神経質にならないことをお勧めします。体を動かしての会話であれば当然胸の呼吸が自然です。静かな場でも、いつも腹式呼吸を意識して話さなければならないということでもありません。
けれどことばが詰まるときなど、その場で腹式呼吸を意識したりすることはよろしいかと思います。腹式呼吸の習慣が身につけばことばが詰まらなくなるということではありませんが、安定した話し方習慣の大切な部分を占めることは確かです。
一般で、健康のために胸呼吸から腹式呼吸に呼吸習慣を変えている方がいらっしゃいます。その気さえあれば呼吸習慣を変えることができるものです。 

力みのない自然体の腹式呼吸が、ことさら意識しなくても日常の生活に定着していること、言い換えれば呼吸の重心を下にもっていくことを目指していきたいものです。