ホーム  体験談 > 吃音の悩み

吃音の悩み|改善体験談(26歳~29歳)(P.10) 悩みの霧が晴れる、他


吃音(どもり)があると社会生活のさまざまなお話し場面で、言えるかどうかと悩みます。
■会社の電話応対で
社名、名前などはことばを換えることはできません。周囲に自分の声が聞かれていることも言いづらくします。
■挨拶の場で
「ありがとうございます」などの決まりフレーズはタイミングを要しますので、詰まると悩みます。
■スピーチで
聴衆の視線を受けながら話すことは、できることなら避けたいと悩みます。
■面接で
面接では一言一言がとても大切です。吃音を出さないで話せるかどうか、悩みます。
■PTAで
PTAの会合では自己紹介があります。「6年6組◎◎◎◎の母、◎◎です。」など上手く言えるか、悩みます。
■自分の将来の不安
吃音があってこれから仕事をしていけるのか?不安がよぎり、悩みます。
■他人が自分をどう見ているのかの悩み
自分の吃音が知られることは恐怖であり、不安です。

一つ一つ吃音の悩みを挙げていったら切りがありません。しかし、話し方の改善の方向性を身に付けていけば、くよくよ悩むことはなくなるでしょう。すべてのお話し場面が話し方を高めるチャンスに変えられるのですから。


「悩みの霧が晴れていくような気持です。」
Iさん(群馬県在住 28歳 会社員 女性)
「吃音の悩みは過去のものになりつつあります。」
Mさん(愛知県在住 27歳 会社員 女性)



(吃音の悩み レッスン体験①)

 悩みの霧が晴れていくような気持です。

Iさん(群馬県在住 28歳 会社員 女性)

  

吃音を自覚したのは、いつ頃だったでしょうか。

今もそうなのですが、幼い頃からひどく人前が苦手で、いわゆる上がり症でした。その証拠に幼稚園のアルバムを見ると、歌の発表会でひとりだけそっぽを向いている写真が残っています。親の話ではこの頃から吃音が始まっていたようです。

電話にまつわる記憶は、小学校1年生のものから始まります。
その日は親が不在で、でも、どうしても友人に電話をしなければならなくて、思い悩んだ末にようやく受話器を取りました。繋がった電話に、私は緊張のあまり言葉を発することができなかったような気がします。というのも、それ以降の記憶がすっぽりと抜けていて覚えていないのです。

それ以来、電話はもっとも苦手なものになりました。受けることも、かけることも。
それは私の名字が母音で始まるため、発音がうまく出来なくてイヤになってしまったことが大きいと思います。

クラスの連絡網、友人宅への電話・・。名乗らなければならない、そのプレッシャーに親と泣きながら言い合いをしたり、時には妹に代わりに電話を掛けて貰ったり・・・とそんな日々を過ごしていました。

学生時代、授業で発表する時間も不安で仕方ありませんでした。どもったらどうしよう。また皆に笑われて、真似されて・・。そう思うと、どんどん心臓は落ちつかなくなり、ますますどもってしまっていました。
話すことは、苦痛でしかありませんでした。話すことが、なくなればいいのに・・・、と。

社会に出るようになりましたが、4,5年は電話に触れる機会はそれほどなく過ぎました。ですが、その時々の電話でどもったりする度、ひどく落ち込み、気持ちは沈む一方でした。それから現在の職場に入って、一気に電話に出る回数が増えました。

長年、無理をして発音してきたせいか、「い」の段の発音がしづらくなっていた私は、職場名がそれに該当すると気づいた時から、電話を受けることが不安になりだしました。不安になり出すと、吃音に拍車がかかるようになり、ますます落ち込み悩むばかりでした。

昨年の秋頃から、吃音がひどくなり職場に行くことが辛くなりました。自分で自分を追いつめるような状態だったと、今では思います。もうどうにもならなくて、悩み、出口の見えないトンネルを歩いているような気持ちでした。

そんな時、ふとネットで調べてみようと思いました。が、検索することに抵抗があったのです。吃音を認めることが怖かった、といいますか・・。

でもそれよりも、もうどうにかこの状態から抜け出したいという気持ちが勝り、「さわやかカウンセリング」のホーム・ページに辿り着いたのです。

他の吃音関係のホーム・ページを見ても、ピンとくるものがなく、一番頷(うなず)きながら熱心に読んでいたのが、「さわやかカウンセリング」でした。どもって落ち込んだときに開いては心を静めていました。

次第に、実際にカウンセリングを始めてみようか、と思うようになり・・迷いました。期間にして、3ヶ月くらい経ってからでしょうか。乗り越えたい、でも・・と未知の世界に対する怖さがあり躊躇しましたが、「やってみよう。この3ヶ月、このページは私の支えになったから」と、意を決して申し込みを決めました。

そして、始めてのレッスン日がやってきました。
その時の私は、落ち着きなく部屋を歩き回り、手足に汗をかいているくらい緊張していました。時間になり、ドキドキしながら電話を掛け・・レッスンが始まりました。テキストの文字を追いかけるのに精一杯でした。この時、自分が早口であることを指摘されて、初めて自分の話し方を客観的に捉えることを知りました。

それから、「話すことを苦痛に感じていませんか?」 と若干言葉は違うかもしれませんが、先生にそのようなことを言われ、私は涙が出てきてしまいました。確かにそのとおりでした。話して、どもれば笑われる。笑われるから、話したくない。その悪循環に陥っていたのです。そのうちに、私の話し方は口の中でもごもごと不明瞭に話すようになってしまったようです。無意識に自分を守るために。

レッスンでは、今まで私が気づかなかった・・いえ、気づきたくなかった、気づこうとしなかった点を知らされます。視界がひらける大切な、でも緊張のある時間です。今まで小さく縮こまっていた自分が、少しずつ起きあがっていけるような。

「いくらでもどもっていい」なんて、周りの誰にも今まで言われたことはありませんでした。レッスンでそう言われる度、私はホッとしてしまうのです。今まで、吃音は悪いことだとずっと思ってきた私には、魔法の言葉のようです。

レッスンを始めて、半年以上になりますが、ことばが引っかかることは日常にあります。でも、心の捉え方は軽くなってきているのがわかります。昨年の今頃は吃音が頭から離れなかったものですが、最近ではそれ程気にならなくなっています。定期的にレッスンがある、というのも精神的に安定している理由です。
どうすれば発語が安定するのか・・と前向きに考えられるようになってきたように思います。

それから、電話口で明るく接せられるよう、それを頭に置いています。今の話し方では、電話の印象が年齢より上に感じられてしまうと指摘を受けまして、目下地道に、努力中ではありますが・・なかなか難しいです。染みついてしまった習慣を直すのは時間がかかるかと思いますが、頑張っていきたいです。

ちなみに話し方の指摘をされて、表情もちょっと暗いかなと自分で気づいて、笑顔も努力中です(笑)。

吃音は、一生私につきまとって直らないと思い悩んでいました。でも今は、少しずつではありますが日常の中で楽な息継ぎ、言葉のつなぎを意識することでコントロールの幅が広げられているかな、と思っています。

※江田よりのコメント:
「どもらないように話さなくては・・・」「ひっかからないように上手く話さなければ・・・」と思えば思うほど、話すことに神経過敏になり、ちょっとした詰まり感でも心で増幅されてしまい、囚われ意識がますます深くなります。
どもってもOK!もたついてもOK!として今の自分をあるがままに受けとめていくことは大きな助け、知恵です。そして安定したお話し感覚を時折意識して実践していくと自信が生まれてきます。




(吃音の悩み レッスン体験②)

 吃音の悩みは過去のものになりつつあります。

Mさん(愛知県在住 27歳 会社員 女性)

さわやかカウンセリングでのレッスンを受け始めて5ヶ月くらいですが、自分の中で「話す」ことに関しての意識が、随分変わってきたような気がします。

私は多分物心ついたころから、吃音があったと思います。 一番つらい思いをしたのは中学生のころです。 そのころが一番ひどかった時期で、授業中の朗読などは心臓が飛び出すくらいドキドキして、読もうとすればする程、余計に読めなくなったりしました。(読めなくて泣いたこともありました。 辛いからというより読めているのに声にならないのが悔しくて・・・。)

当時の私はそこそこ勉強ができる方だったのですが、どもってしまう恐怖から自分で手を上げて発言するということがあまりありませんでした。 それが先生達には気になったらしく、一度担任の先生との面談のときに「先生をバカにしてるのか!?」と言われ、ものすごいショックを受けた覚えがあります。

その後は年齢とともに「うまくごまかす」方法を身につけて、なんとかやってきました。 社会人になってからも会社の名前が言いにくいと思いながらもなんとかやってきたのですが、だんだんひどくなっていく気がして悩む日々でした。なんとかしたい・・・結婚したら新しい苗字になって、すごく言いにくいなぁ・・・と思っているときにさわやかカウンセリングのHPを見つけました。

今まで自分の身の回りでは吃音の人とはひとりも出会ったことがないため、この辛さはわかってもらえないよな・・・とずっと思っていたので、体験談に記されていることに共感し、「そうそう、そうなんだよ!!」と読み進めました。正直HPを見ただけでかなり気持ちが楽になりました。

カウンセリングを実際受けてみて、今まであった「なんとかして治したい」という焦りのようなものがなくなり、「今のままで、もっと自然な意識を持ちながら話すようにすればいいんだ」という気持ちになって、すごく楽になりました。今まで敬遠していた会社の外線電話にも積極的に出られるようになったり、営業に行っても自信をもって話すことができるようになったと思います。

けれど、普段の友達との会話の時など、ついいつもの癖が出て早口で一気に話してしまったりして、なかなか「安定感を意識をしながら話す」ところまでいっていないのですが、しっかりと自分の習慣にしていこうと思っています。

※江田よりのコメント:
Mさんは模範的ともいえるきれいな柔らかい話し方をなさいます。けれど、当のご本人は言いにくさを感じ悩んでおられるというように、表面からはわからないのが吃音の世界です。
自分の吃音意識を客観的に知り、感情を否定することなくそのまま受け止めながら安定した発語感覚を育てていく・・・これが悩むことなく自信をもって話していく秘訣だと思います。



※下のフッターから更に多くの体験談を年齢別にお読みいただけます。