吃音レッスン 体験談(30~39歳)(P.10) 名前が言えない悩み、館内放送の成功体験、他
人に名前を聞かれた時、即座に言えない、どもってしまう。詰まることが繰り返されると、苦手意識が深まります。
■名前が言えない、どもる 理由(1)言う時のタイミングが要求される。
名前を言うのは瞬時のことです。考えて言うものではありません。瞬時に言うことが発語の硬さになってしまします。
■名前が言えない、どもる 理由(2)言い換えができない。
名前だけでなく、会社名などの固有名詞は言い換えられませんので、吃音意識があると詰まりやすくなります。
■名前が言えない、どもる 理由(3)早く言おうとしてしまう。
詰まることを繰り返すと、ますます早く言おうとしますので、発語(名前)が硬くなってしまいます。
■名前が言えない、どもる 理由(4)相手が注意して聞こうとする場面が多い。
名前を言う場面は、他者が自分の名前を聞こうとしていることが多いです。自分の話し方に意識が入り詰まることがあります。
日頃からリズム感をもたせた名前の言い方を習慣として、定着させていくことをお勧めします。
■「名前を言う時など、自分なりの安定感をどうやって身につけていくかが大切だと思います。」 Hさん(東京都在住 37歳 公務員 男性) |
■「自然な話しやすい喋り方を育てていこうと思っています。」 Oさん(愛知県在住 38歳 会社員 男性) |
■「自分なりの喋りやすい話し方が出来るようになってきたと思います。」 Iさん(福井県在住 34歳 市役所職員 男性) |
(名前が言いにくい レッスン体験①)
名前を言う時など、自分なりの安定感をどうやって身につけていくかが大切だと思います。
Hさん(東京都在住 37歳 公務員 男性)
私がさわやかカウンセリングにお世話になって、もう半年が経とうとしています。このカウンセリングを通して今までに経験したこと、感じたことを書こうと思います。私が吃音になったのは、子供の頃、一緒に通学していた子が重度の吃音で、その話し方の影響を強く受けてしまったのではないかと思います。私は今30代後半ですが、今まで吃音の人が経験する様々な辛いことを経験してきました。
子供の頃は特に症状がひどく、自分から率先して話すことはなるべく避け、授業中も答えが解っていても絶対に手をあげない子供でした。この頃から人から名前を聞かれるのが嫌でした。
大人に成長するにつれ、大分直ってきて日常会話は特に問題なくなりましたが、自分のタイミングで話せないときはまだ時々どもります。致命的なのは、自分の名前が非常に言いにくいという事です。何かの申し込みの時、自己紹介の時、どもってしまって自分の名前がパッと言えない苦しみは同じ症状を持つ人しか解らないと思います。
大学生の時、自分の吃音と真剣に取り組もうと思った時期があり、いろいろな本を読んだり、矯正所の情報を集めたことがありましたが、そのときは、何をやっても完璧には治らないだろうと思い、開き直って生きていくしかないなと思って矯正所に通うのはやめました。
今、社会人15年目ですが、職場の雰囲気もよく、なんとかトントン拍子で今まできましたが、それが今年の春、突然、ブラックホールに落ちるかのようにどもりの症状が重くなってしまったのです。
4月の人事異動が気になり始めたとたん、今まで電話で言えていたセクションの名前が出てこなくなり、夜も眠れなくなってしまったのです。移動先のセクションの名前が言いにくいところだったらどうしようと考え始めたとたんです。
これはまずいと思い、わらにもすがる思いでネットや本で調べた結果、私の目にとまったのが「さわやかカウンセリング」のホームページで、すぐに相談しました。電話の対応が多い職場ですので電話でカウンセリングができるのは絶好だと思ったからです。
江田先生ご自身も吃音だったということもあり、どもりを持つ人の心の動きを十分に理解しています。私自身、この歳になると、完璧に治るとは思っていません。大切なことは、先生が言われるように、どもらず話そうと思うのではなく、自分なりの安定した発語感覚をどうやって身につけていくかだと思います。言いにくい言葉の前の伸ばし感覚や精神的なことなど、このカウンセリングを受けて非常に役に立っています。
吃音は精神的な部分がかくも深く関係していることを確認できましたし、もっともっと自分なりの話し方感覚を身につけていくためにも電話でのレッスンをこれからも続けていこうと思っています。
※江田よりのコメント:
ある言葉を気にしだしたとたん、言えなくなってしまう・・・これはHさんだけの問題ではなく、吃音意識を持つ人にとって共通した症状です。この意識を取り除こうとするのではなく、あくまで安定した発語感覚を育てて意識の上に上書きしていくことが改善の道であると思います。
(名前が言いにくい レッスン体験②)
自然な話しやすい喋り方を育てていこうと思っています。
Oさん(愛知県在住 38歳 会社員 男性)
私のことばの引っかかりは幼少のころからです。
以来30年間余、頭の片隅からどもり意識が消えたことはありません。特にどもる恐怖がよぎるのは、二人以上の前での雑談や、話をするときです。学校や会社で人と顔を突き合わせるときは、顔がこわばるのが自分でもわかり、振り返ってみると、とても幸せな生き方とは思えませんでした。
その背景には、吃音を悟られたくないとか、どもってその場をしらけさせたくないといった、自分を隠す意識が働いておりました。
このままではいけない、吃音がなければ楽に生きられると思い、話し方改善の本を読もうとしましたが、本屋で買うにしても、レジの人にどう思われるかが怖くて、結局買わずじまいでした。
一番嫌なのは、名前が言えないことや自分の言いたいことが言い出せないことです。この思いは両親にも打ち明けられませんでした。自分ではどうすることもできないまま月日だけが過ぎていきました。
そんな時にホームページで、さわやかカウンセリングを見て、やってみようと思い、レッスンを始めました。受講時間は70分ですが、こんなに長時間喋るのは日常ではあまりないので疲れるものの、終わった後は爽快感があり気分がいいです。
受講では自分の話しやすい伸ばし感覚、緩やかな速度を身につける訓練を受けました。今では、一番不得意だった会話の出だしであまり緊張しなくなりましたし、名前が詰まって言えないということはなくなりました。
型にはめた話し方ではなく、自分として自然な話しやすい喋り方を育てていこうと思っています。
※江田よりのコメント:
レッスンでは型にはまった発声練習はしません。あくまで受講生自身が納得のいく話し方を目指しています。
自分にとっての自然な話しやすい話し方を追求なさってください。
(名前が言いにくい レッスン体験③)
自分なりの喋りやすい話し方が出来るようになってきたと思います。
Iさん(福井県在住 34歳 市役所職員 男性)
私の覚えている限りでは小学校くらいから吃音に悩んでいました。私には特定の言いにくい言葉(主に「た行」「か行」等)があり、その音からはじまる最初の一言がどうしても詰まってしまう症状でした。学校の国語の授業で朗読の順番が回ってくるとどもるんじゃないかと気になり、読む時はどもらないように気を付けてなんとか過ごしていました。日常生活では特に支障はなかったので、そんなには意識していませんでした。しかし、クラスの委員とかみんなの前で喋る機会の多い役は避けてきました。
社会人になった当初(今は社会人12年生ですが)は、窓口での応対や電話応対などが主で、言いにくい言葉を他の言いやすい言葉に置き換えて何とか対応していました。
職場の異動で仕事の内容が変わる度に、課名等言いにくい音から始まる言葉がないかといつも気にしていました。何故かというと電話で言いにくい言葉を最初に言うのが一番苦手だったからです。それでも何とかどもりながらも対応していました。
しかし、会社の代表電話を取って他の課に転送する仕事がある課に移ってからは、日々、吃音との闘いでした。
まず、最初に言う社名が言いにくい言葉でしたので、頻繁に鳴る電話を取るたびに言葉に詰まり、転送するときは、相手が言いにくい名前だとそこでも詰まり、同じ職場の人にこの人言い方がおかしいんじゃないかと思われるのではないかと意識すればする程ひどくなっていきました。さらに、同じ職場内で人を集めていろいろな事を説明しなければならない仕事も加わり、毎日吃音の事で本当に悩んでいました。
ネットで紹介されている高額な治療費のかかる吃音治療院に、たとえ高額な治療費がかかっても吃音が治るのであれば決して高くはないと思い通院してみようかとも思いましたが、仕事をしながら私の住んでいる所から治療院へ通うのは現実的に無理な話でした。その他ネットで調べて吃音治療の本を読んでみたり、安価で治療方法を教えてくれるサイトの方法を試したのですが、これといった効果はありませんでした。
そんな中、たまたま江田先生のサイトを見つけました。一回のレッスン料もそんなに高くなく、何より電話で実際に先生と会話して実践的なレッスンを受けられる事、先生自身が昔、吃音で悩んでいたとの事だったので、同じ気持になって指導してもらえるのではと思い申し込みました。
実際にレッスンを受けてまず先生に言われたのは吃音に対する考え方を変える事でした。それは「どもらないように喋ろうとするのではなく、どもってもいいから自分の一番話しやすい話し方を日々意識して喋るようにする」ということでした。とは言っても言われてすぐそれが出来るなら苦労しないよな~と正直思いましたが、何とか少しでも良くなればいいかなという気持ちでレッスンを続けました。
最初はやはりどもらないように話さなければと意識しすぎてなかなかうまくいかなかったのですが、江田先生のゆったりとしたやさしい口調で電話の受け方を実際にやってみたり、言いにくい言葉を言いやすくするコツを実践的に教えてもらったりするうちに、だんだん言いやすい話し方を日々の会話で意識出来るようになってきました。また、レッスンをしているという事が話すことへの自信につながり、会社での電話応対も少しづつ調節出来るようになってきました。
また会議での発表では、先生のアドバイスで予め原稿を作るようにした事で、以前よりうまく出来るようになったと思います。
最近、自分なりに自信になり一番嬉しかった事は、マイクで車を呼び出しする館内放送が出来たことです。単純な放送なのですが、以前の自分だったらどもることを意識してしまって絶対出来なかったと思います。今回は予め言うことを紙に書いてゆっくり正確に放送することが出来ました。これもレッスンを受けているおかげだと思います。
どもらないようにと捉えるのではなく、自分なりの喋りやすい話し方を実践し続けることによって、知らず知らずのうちに自然に出来るようになってきたように思います。
※江田よりのコメント:
レッスンのためのレッスン、いわゆるレッスン上手に終わらないためには、会議での発表、館内放送、電話応対など、さまざまなお話し場面に接することが不可欠です。
これからも様々なお話し場面に接し続けて、自分なりの話しやすい話し方を開拓してください。
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